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北アメリカの森林に棲むワピチはユーラシアのアカシカのなかまで、ヘラジカに次いで大きなシカだ。和名をアメリカアカシカまたはキジリジカと言う。アメリカではエルクと呼ぶことが多い。エルクはヨーロッパではヘラジカ(アメリカではムース)を指すので翻訳書を読む時は注意が必要だ。 正式名ワピチは Shawnee(インディアン)語で白いシカを意味している。確かにワピチの絵や写真を見ると灰色っぽいものが多い。老雄ではベージュに近くなる。しかしこれは冬毛だからだ。そしてワピチも夏毛は褐色になる。 |
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ワピチはカナダ南部から合衆国の中西部にかけて分布する。 中でもカスケード山脈から西海岸の森林にすむ Roosevelt Elk が最大であり、カリフォルニアの Tule Elk が最も小さい。 メジャーなのは本来カナダ南西部産の Rocky Mountain Elk でいまでは合衆国各地に移入され増えている。 またかつてアリゾナ、ニューメキシコ、テキサスには Merriam Elk が生息していたがこの亜種は既に絶滅し、現在これらの地で見られるのは移入されたものの子孫である。 |
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ニューヨーク自然史博物館の Hall & Kelson(1959)によれば全長203〜297cm(尾は8〜21cm)である。シートン(狩猟動物の生活、1925)は平均的な雄で肩高1.5m、体重320kgとしている。また特に大きいもので肩高173cm、体長274cmの記録があるという。
雌は2002年1〜4月、カナダのアルバータでの観察で27頭が体重197〜272kg(平均241kg)だった。また同地における別のサンプル(19頭)は125〜281kgで平均はやはり241kg。
以下は雌の記録
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![]() ワピチの角は非常に大きい。枝は6〜8尖で長さ1.2mくらいある。最も長い記録は164cmでアリゾナ(1977)およびオレゴン(1972)で記録されている。 |
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アカシカはヨーロッパの代表的なシカで北アフリカ、そしてアジアにまで分布している。ワピチもアカシカと同一種だとする説も少なくない。たとえば Hanak & Mazak(1979)はワピチは以前は独立種と考えられていたと語っている。つまり今は同種だとしている。しかし最近は別種として扱われることの方が多い。 一方今泉吉典氏(1998)は極東アジアの大型のアカシカ(馬鹿)をワピチに含めている。シベリア南部、モンゴル、中国東北部のアカシカはワピチだとしている。 Maurice Burton(1972)はワピチ、アカシカ同種説を採ってはいるが、東アジアのものはワピチ型に含めている。つまりロシアやモンゴルで Maral と呼ばれていた大型のアカシカはアジアのワピチということになる。 最大の角は152cm(Rowland Ward, 1909)、新しいところでは1993年にカザフスタンで144cmの記録がある(trophyhunt)。 |
アジアのワピチは研究者によって分類が一定していないが、キジリワピチ(Isubra、中国東北部とその周辺)、アルタイワピチ(Maral、アルタイからバイカル湖)、テンシャンワピチ(Maral、中央アジア)などが亜種(または独立種)として区別されている。肩高150〜163cm(trophyhunt)。
カスピ海西岸からトルコにかけて分布するカスピアカシカはかなり大きく肩高150〜160cmもある(今泉、1998)。ワピチにほぼ等しい。イランでもアカシカを Maral と呼んでいるので紛らわしいが、こちらはヨーロッパアカシカの近縁種(または亜種)である。
| アカシカはイギリスのスコットランドや湖岸地域にも多数生息している。またあちこちの公園にも野生の状態で放されている(ニホンジカも多数飼われている)。イギリスでは唯一の大型獣といえる。 中央ヨーロッパ産よりはだいぶ小型で雄の平均肩高1.1m前後、体重100〜150kgほど。最大の記録は238kg(1831年)だ。また公園のシカでは1836年に216kg、肩高137cmの記録がある。 |
J. Walker McSpadden(1941)は Moritzburg 城やその他に残された記録からすると当時のドイツのアカシカは今のものより大きかったという。1646年に Saxony で捕獲された大きな雄は体重393kgもあった。1611〜1656年には他に355kg以上の記録が59頭ある。 Gerald L. Wood(1982)によれば今日でも中央ヨーロッパ産には300kgに達するものがある。 |
